大学別分析

国際医療福祉大学の「多職種連携」は、一つの症例を一緒に考えるところから

執筆
大学ブランディング研究所 編集部
最終更新日
国際医療福祉大学の「多職種連携」は、一つの症例を一緒に考えるところから

医療・福祉の専門を学ぶなら、まず自分の職種を深めることが大切です。その途中で、なぜ他の職種を目指す学生と、同じ症例を考えるのでしょうか。国際医療福祉大学の「関連職種連携ワーク」は、主に3年次にそうした時間を置いています。医学部・薬学部では実施年次が異なる場合があります。

関連職種連携教育の案内では、3年次に学部・学科を越えたチームを組み、討議を重ねると説明されています。各チームには専任の教員がつき、学修を支援します。「チーム医療を学ぶ」という言葉に、誰と、何について考えるかが添えられています。

学生と教員が身体模型と資料を囲んでケースを検討するイメージ
※写真はイメージです

編集部がこの授業で注目したいのは、違う専門の学生が同じ症例を読むことです。別々の授業で各職種の仕事を知る場合とは違い、一つの状況に対して、ほかの職種はどう関わるのかも考えなければなりません。討議した内容は報告会で発表し、チーム同士でも共有するといいます。

大学の理念は、病気や障害の有無にかかわらず、人々が互いを認め合って暮らせる「共に生きる社会」を掲げています。ここでの共生は、専門家同士の仲の良さだけを指しません。医療や福祉を必要とする人も含め、誰がどのように生活できるかという社会像です。理念原文は大学データページにも収録しています。

この理念の下には「学際性」という教育理念もあります。他学科の専門科目を教養として学び、総合的な教養を持つ医療福祉専門職を目指すという方針です。社会像と授業の間には、専門の外にも学ぶ医療人を育てるという教育上の目標が置かれています。

関連職種連携教育では、症例を討議する前の「関連職種連携論」で、ICF(国際生活機能分類)の視点を学びます。大学の説明は、健康状態を本人の背景だけでなく、どこで誰と暮らすかという環境との関係で捉えています。職種の役割を覚えるだけでなく、支える相手の生活を共通の見方で考える。その準備を経て、異なる専門から一つの症例を討議します。学部が複数あるというキャンパスの構成が、ここでは同じ人を共に支える練習の組合せになります。

教室での討議から、実際の患者や利用者へ

4年次の「関連職種連携実習」では、病院や福祉施設で治療計画の立案に関わり、医師や各職種が集うカンファレンスにも参加するとされています。学内の教員と実習施設の専門職が連絡を取りながら、チームの学びを支えます。

教室で共有していた症例は、臨床では実際に生活する人の状況になります。異なる専門を一つに揃えるのではなく、それぞれの役割を知り、同じ患者や利用者を支えるために調整する。大学が連携教育の目的に置くのは、臨床でチーム医療・チームケアを担える人を育てることです。生活環境を含めて相手を捉え、他職種の役割を理解して支える。その学ぶ内容に、幅広い教養を持つ医療人を育て、「共に生きる社会」を目指す教育との接点があります。