國學院大學は、建学の精神を12の共通学修成果にどう置いたのか
- 執筆
- 大学ブランディング研究所 編集部
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國學院大學の共通教育プログラムには、全学生が卒業までに身につける目標が12項目並んでいます。編集部が表を追っていて目に留まったのは、最初の一項目だけが「建学の精神と神道精神」から始まることでした。
「建学の精神を理解する」を、全学生の学びとしてどう扱うのでしょうか。ここでは語学や情報活用、論理的思考、協働と同じ表に入っています。その中でも、日本文化と外国語、異文化への受容をまたぐ一つの科目区分が気になります。

最初の一項目だけが、大学固有の言葉で始まる
共通教育プログラムの公式ページでは、12項目を「学修成果参照基準(Reference Standard)」と呼び、RSという略号で示しています。Aは「知識・技能」の区分、1はその最初の項目です。つまりRS-A1は、「知識・技能」区分の第一項目を指す管理上の呼び名です。
その本文は「建学の精神と神道精神を理解し、日本文化を説明できる」。A2は日本語、A3は外国語、A4はコンピュータを使った学修へ続きます。Bには思考・判断・表現、Cには異文化の受容や協働、市民としての参加などが置かれています。
RS-A1が先頭だから最重要だと決めつけることはできません。公式ページも優先順位とは説明していません。12項目の一つとして、大学固有の学びを他の基礎的な力と同じ粒度で扱っている。その置き方に特徴があります。
建学の精神の説明は、欧米の模倣だけに寄らず、自国の歴史や文化に基づいて学ぶという創立の背景を伝えています。さらに2026年の学長インタビューでは、日本を明らかにするには海外の学術にも通じ、比較して自国の文化を捉える必要があると説明しています。日本文化を知ることと、異なる文化に学ぶことは、大学自身の説明でもつながっています。
「Japan Studies」で、固有の学びと語学が交わる
同じページを下へ進むと、12の目標と四つの科目群の対応が見えてきます。RS-A1を主に担うのは國學院科目群です。「神道と文化」「國學院の学び」「日本文化を知る」など、大学固有の文脈を正面から扱う科目が並びます。
ただ、一つだけ線が横へ伸びています。「Japan Studies」はRS-A1に加え、外国語のA3と異文化を受け入れるC1にも対応しています。日本文化を理解すること、別の言語で考えること、異なる文化を受け止めることが、一つの科目区分で重なるわけです。
國學院科目の説明には、体験やフィールド・スタディを交え、日本の文化的伝統と現代の問題を考えるとあります。「Japan Studies」の対応表を学長の言葉と合わせると、外国語や異文化への受容は、日本文化の学びの外側に付け足された技能ではないと読めます。対応表が示しているのは、日本文化の理解だけでなく、外国語でのコミュニケーションと異文化への受容も、同じ科目区分の目標に含めるという方針です。大学の由来を知ることを、他者へ伝える力や他者を理解する態度と切り離していません。
大学の由来を知るだけで終わらせない
編集部にとって、この表を読む意味は、大学固有の科目をいくつ置いたか以上にあります。建学の精神を知ることから、「日本文化を説明できる」という学生自身の仕事へ進み、他の言語や文化へも開いているからです。大学の歴史を覚えることと、その学問を自分で使うことの間に、学修成果という橋が置かれています。
共通教育センターは、このプログラムの策定・運営・評価を担います。教学と広報が成果目標を扱うときにも、固有の科目名だけでなく、何を説明し、誰の文化を理解するのかまで読むと、建学の精神を教育に置く意味が伝わります。
