コラム

なぜ今、大学に「ブランド」が必要なのか

執筆
大学ブランディング研究所 編集部
最終更新日
なぜ今、大学に「ブランド」が必要なのか

教育の内容に自信があっても、その中身を知らない人には、どの大学で学ぶかを選ぶ材料がありません。授業、研究、支援をどう伝え、その説明に見合う経験をどう用意するか。上條憲二氏の大学ブランディング講座は、この問いを大学経営の仕事として考えます。

大学の中にある良さを、相手はどこで知るのか

受験生が知りたいのは、自分が何を学び、どんな支援を受けられるかです。地域や企業なら、大学とどのように協力できるかが関心になるでしょう。大学側が同じ教育研究を紹介するときも、相手の問いに応じて説明する内容が変わります。

一方、伝え方だけで解決しない問題もあります。案内で約束した支援が利用できなければ、まず運用を確かめる必要があります。魅力が知られていないのか、説明が分かりにくいのか、実際の条件に問題があるのかを分けると、広報に何を任せるかも明確になります。

募集の数字から、すぐにコピーへ飛ばない

入学者が減った場合も、人口、学部構成、入試方式、学費、通学条件など、いくつもの要因が考えられます。全国の定員未充足の割合だけを根拠に、自校のブランドが弱いと判定することはできません。数字の読み方は2025年度の定員未充足を扱う記事で整理しています。

大学ブランディング研究所では、自校の課題と、それを裏付ける事実を先に確かめることを重視します。発信を増やす判断も、教育や支援を見直す判断も、そこから具体化します。

大学の約束を、日々の仕事へ

講座がブランドを経営の問題として扱うのは、受け手の評判が広告だけで決まるわけではないからです。授業での経験、窓口の応対、研究成果、卒業後の関係も、その大学についての理解を形づくります。

教育を紹介するなら、どんな活動があるかに加え、なぜその学び方を選んでいるかを伝えます。大学が育てたい力と、学生が授業で考えたり試したりすることの関係です。支援なら、どんな学生の学びを支えるための制度かを説明します。受け手はそこで初めて、自分の求める経験と大学の考えを照らし合わせられます。

大学ブランディングが必要なのは、良い活動をただ多く知らせるためだけではありません。大学として大切にすることを、相手が理解できる経験として説明し、実際にも提供するためです。説明と実態のどこにずれがあるかによって、伝え方を直す仕事と、制度を見直す仕事が決まります。

本稿は上條憲二氏の「大学ブランディング講座」第1回をもとに再構成しました。続く「ブランドとは何か」では、人の頭の中にある評判という考え方を扱います。

講座の案内:第1回「ブランドとは何か」