東京都立大学の理念|「東京」は所在地だけを意味しない
- 執筆
- 大学ブランディング研究所 編集部
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東京都立大学が掲げる「東京から世界」は、所在地から遠くへ進むことだけを意味するのでしょうか。目的・使命には、その前に「大都市の現実に立脚した教育研究」とあります。
大学ブランディング研究所 編集部は、この「現実に立脚した」という条件から、東京が教育研究の中で果たす役割を考えます。都市の理想を、いま目の前にある暮らしや環境から問う大学。その読み方を、将来像と教育方法で確かめます。

「東京から世界」を、距離の話だけで読まない
大学の目的・使命には、「大都市における人間社会の理想像を追求すること」と「大都市の現実に立脚した教育研究」が並びます。抽象的な理想だけでも、目の前の地域貢献だけでもない。都市の現実を見ながら、その先の社会を考える往復です。
そのうえで掲げる「学問の力で、東京から世界の未来を拓く」は、東京で見つけた問いを、ほかの都市や社会にも開いていく言葉として読めます。これは編集部の解釈ですが、公式文書の並びには、その読み方を支える一貫性があります。
都民への責任と世界への広がりが、一本につながる
TMU Vision 2030は、大都市課題研究を進めて東京都の発展に貢献し、「ひいては世界の未来を拓く」としています。地域性と国際性を別々の看板にせず、東京で扱う課題を介してつないでいるわけです。
「地域に根ざす」と「世界を目指す」は、大学広報では並べるだけになりがちです。ここでは東京が、その二つを行き来させる媒介になっています。
東京の課題を、科目の区分にする
都市環境学部の教育方針には、その一例があります。都市政策科学科は、これからの東京で解決すべき課題として、環境、高齢化・健康・福祉、産業、防災・復興、多様な人々の共生を挙げています。これらの「課題別」の科目に、「空間」「制度」「社会」という解決手法の分野を組み合わせる編成です。
科目名に東京と付けるだけではありません。調査・統計法の基礎を学び、グループワークで政策課題の解決策を検討・提案するところまでを教育方針に含めています。何を解決するかと、どの方法で確かめるかを一緒に学ぶ。その構成に、大都市の現実を出発点に社会を考えるという大学の使命との接点を読めます。
大学のVisionは大都市の課題から世界へと視野を広げ、都市政策科学科は東京で取り組む課題と方法を教育課程に置いています。世界への広がりと学科での学びは範囲こそ違いますが、いずれも都市を所在地だけでなく、解くべき課題のある場所として扱っています。
理念原文は大学データページにも収録しています。東京都立大学の「東京」は、学ぶ場所であると同時に、現実から問いをつくる出発点なのです。
