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芝浦工業大学は、なぜ「社会に貢献する」の前に「社会に学ぶ」と置くのか

執筆
大学ブランディング研究所 編集部
最終更新日
芝浦工業大学は、なぜ「社会に貢献する」の前に「社会に学ぶ」と置くのか

芝浦工業大学の2026年度事業計画は、教育改革の理由を大学の内側だけに置いていません。社会ニーズが変わり、複数分野の知識が必要になった。だから工学教育の区切り方を変える。計画を先に読むと、建学の精神にある「社会に学ぶ」が、急に現在の話として見えてきます。

事業計画、学修の手引、創立者の言葉には、社会との関わりが繰り返し登場します。社会は、貢献の成果を届ける相手として最後に登場するだけではない。教育を変える情報の入口にも置かれていました。

街で得た観察記録を大学の作業台で試作へ戻す学生のイメージ
※写真はイメージです

計画は、大学の外で起きた変化から始まる

2026年度事業計画では、社会ニーズの変化を背景に、工学部の課程制やシステム理工学部の学際科目・モジュール制を進める方針が記されています。

編集部がここで気になったのは、社会が「貢献先」ではなく、改革を始める根拠になっていることでした。外で起きた変化を受け取り、大学の教育へ戻す。理念を紹介するページでは見えにくかった「学ぶ」の動きが、年度計画では意思決定として現れています。

受け取った変化を、履修できる形へ戻す

2026年度の工学部「学修の手引」は、2024年度に課程制を導入し、分野横断教育、研究を軸とした実践型教育、課題発見・解決型人材教育を三つの柱に据えたと説明しています。自コース以外の専門科目も履修できる仕組みです。

社会課題が一つの専門では閉じなくなった。その変化への応答として、学生が専門を越えられる入口を置く。2024年度に始まった課程制の説明にも、2026年度にそれを継続する計画にも、複数分野の知識を求める社会の変化が記されています。履修の手引は、その認識に応える仕組みを、自コース以外の専門科目を選べる形で示しています。

この制度だけで、学生が社会課題を解決できるようになったとは判断できません。今回の資料から確認できるのは、社会の変化を教育設計へ取り込む経路までです。

創立者の言葉に戻ると、循環の始点が分かる

建学の精神を説明する公式ページは、創立者・有元史郎の言葉として「現代文化の諸相を教材とし、社会的活動の意義を体得する教育」を紹介しています。教材は教室の中だけにあるのではなく、同時代の社会にもあるという教育観です。

現在の計画と履修設計からここへ戻ると、「社会に学び、社会に貢献する」は二つの目標を並べた言葉ではなく、社会の変化に応える教育の順番として読めます。社会から変化を受け取り、教育を組み替え、身につけた技術を社会へ返す。この順番で読むと、貢献に先立って社会から学ぶ理由が分かります。

課程制を紹介するとき、変えた理由も添える

経営企画や教学が課程制への変更を伝えるとき、制度の新旧に加えて、どんな社会の変化を受けて見直したのかも示せます。芝浦工業大学の学修の手引は、その理由を説明してから、専門外の科目も履修できる仕組みへ進みます。受験生にとっても、分野を越えて学ぶ理由を考える材料になります。

東京工科大学のコーオプ教育を扱った記事では、企業実習の前後を大学がどう支えるかを読みました。芝浦工業大学の資料では、社会の変化を年度計画や履修設計へ取り入れる判断をたどれます。