明治大学は、なぜ「個」を強くしながら協同を求めるのか
- 執筆
- 大学ブランディング研究所 編集部
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「個」を強くする大学が、なぜ協同も求めるのでしょうか。明治大学の建学の精神・理念・使命は、1881年の明治法律学校の設立を、個人の権利を確立し、自由な社会を実現するためにフランス法学を教えた出発点として説明しています。
この出発点を知ると、「『個』を強くする大学」の強さには、競争で他者に勝つこととは別の意味が見えてきます。個人の権利や自由を認め、学問の独立を基礎に、自律の精神を養うこと。明治大学自身が説明する「権利自由、独立自治」は、社会の中で一人ひとりが自分の意思を持つための理念です。

一人の自律だけでは解けない問題がある
同じページの「本学の使命」では、時代が21世紀へ移ります。そこに挙がるのは、多様な価値観のぶつかり合い、国家・民族間の相克、社会的・経済的な格差です。日本の少子高齢化を受け、新たな社会システムを模索する必要にも触れています。
設立の説明が、個人の権利と自由を確立する必要から始まるのに対し、使命の説明は、異なる個人や社会がどう共に生きるかを問うています。そこで大学が重視するのは、一人ひとりが個性を育み、多様な個性を尊重しつつ、協同を日常化することです。
自律した個人が増えれば、それだけで社会の問題が解ける、という話ではありません。価値観の異なる相手と取り組まなければならない問題がある。そうした現状認識を間に置いて読むと、「個」を磨くことと協同を進めることが、一つの使命の中にある理由が分かります。
自分たちで決めるために、現地の人と相談する
その関係を教育の場面から考える手がかりが、経営学部のグローバル・サービスラーニングです。2025年度Bの実習は、2026年2月26日から3月11日まで、フィリピンのセブ島で行われました。
実施報告には、学生が活動拠点で提供する料理や、グループ調査で訪れる場所を、事前学習で話し合ったことが記されています。現地のコーディネーターやバディとも相談し、相手のニーズに合う計画を準備しました。
自分たちの判断で計画することと、現地の人に相談することは、同じ活動の中にあります。編集部には、ここが「個」と協同を一緒に考える場面に見えます。自分の考えを持つから相談ができ、相手の事情を知るから判断し直せる。主体性を発揮することは、他者の事情を聞かずに進めることではありません。
違いを持ち寄れることも、「個」の強さになる
教育目標は、世界の課題に関心を持ち、自立した個として専門的能力を発揮する人材と、個を繋いで変革を推進する人材の育成を掲げています。個人の専門性と、人と人の間をつくる働きが、同じ目標に含まれています。
使命の文章は、協同の前提に「多様な個性を尊重しつつ」と置いていました。全員を同じ考えに揃える必要はありません。違う考えや専門を持ったまま、共通の問題に取り組めることが求められています。
この実習では、自分たちで計画を立てながら、現地の人の事情も聞いています。その具体を現在の使命文と合わせると、「個」を磨くことと協同を求めることの関係が見えてきます。大学が求めるのは、個性をなくして足並みを揃えることではなく、異なる個人が共通の問題に向き合うことです。自律と協同を別々の目標にせず、ともに持つべき力としているのです。
