慶應義塾大学の起業家教育は、研究成果をどんな課題へつなぐのか
- 執筆
- 大学ブランディング研究所 編集部
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自分の研究を、事業計画として説明する。慶應義塾大学の「アントレプレナー育成2」には、その課題があります。学問の成果を社会に生かすという慶應の姿勢を、この授業はどんな課題にしているのでしょうか。
2026年度秋学期の開講案内は、理工学研究科の修士課程を主な対象とし、理工学部4年生の先取り履修も認めています。2026年10月からの開講予定です。起業家や支援者の講義に加え、学生自身の研究成果などを基盤とした事業プランをグループで作成します。

研究の何を、誰が使うのか
研究で得た知識や技術を、事業の計画にする。編集部がこの課題に注目するのは、研究成果を説明する相手と、説明すべき内容が変わるからです。新しい技術だと伝えるだけでなく、誰が何に使うのか、その利用を事業としてどう続けるのかまで考える必要が出てきます。
授業案内には、事業計画の作成とピッチコンテストへの参加が挙げられています。2026年度も、12月の起業支援プログラム・ビジネスプランコンテスト「KLL-ONE」への参加を予定しています。研究をもとに作った計画を、研究室の外へ説明する場までが授業の視野に入っています。
先輩起業家からのメンタリングも、その計画を考えるための機会です。カリキュラムにはプレゼンテーションの練習、起業のファイナンス、知財の基礎も並びます。専門の研究を出発点にしながら、事業にする際に必要な説明や知識を学ぶ構成です。
学問の成果を生かす道を、自分たちで描く
慶應義塾のアントレプレナーシップ教育は、「独立自尊」と「実学」の理念を基盤として説明されています。学塾の紹介にも、自ら考えて行動することと、学問の成果を社会に生かすことが記されています。理念原文は研究所の大学データページにも収録しています。
ここで「実学」を、役立つ事業をつくることと同じ意味にしてしまうと、慶應の説明から離れます。理念と歴史のページは、実学を、実証に基づいて真理や問題に向き合う科学的な姿勢として説明しています。事業化は、その学問による成果を生かす道の一つです。
この科目の特徴は、研究を捨ててビジネスを学び直すのではなく、研究成果を事業構想の出発点にすることです。何を事業の基盤にできるかを考え、足りないファイナンスや知財の知識も学ぶ。学塾が掲げる「学問の成果を社会に生かす」という方向を、学生が自分たちの研究から計画をつくる課題へと具体化しています。
教育プログラム一覧には、異なる学部・研究科を対象とする科目が並びます。その中で、この授業が研究成果を出発点に置く意味は明確です。社会で必要とされる技術の話を聞いて終わるのではなく、自分たちの研究にどんな使い道を開けるのかを、計画として示すところまで求めているのです。
