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法政大学は「実践知」を、学内の小さな改善からも探す

執筆
大学ブランディング研究所 編集部
最終更新日
法政大学は「実践知」を、学内の小さな改善からも探す

「ごみ箱の集中・再配置で皆が便利に」。法政大学の「自由を生き抜く実践知大賞」の募集要項には、この過去の受賞例が載っています。大学の関連会社が行った、キャンパス内の改善です。2025年度募集要項

ごみ箱の位置を変える仕事は、法政大学のいう「実践知」とどう関わるのでしょうか。受賞紹介を読むと、ただ便利になったという話ではなく、キャンパスを使う人と清掃する人の両方を見た判断が記されています。

複数の資料を机に広げて計画を確認する手元

ごみ箱の配置が、理念を語る題材になる

2024年度の受賞紹介によると、総合管理を担当するエイチ・ユーは、点在していた屋外のごみ箱を通行動線の近くへ集め、分別の表示を付けました。別の分別回収用ごみ箱も、食堂や店舗、自動販売機の位置を考慮して再配置しています。

捨てる人にとっての使いやすさと、清掃担当者が回収しやすいことを、同じ配置で扱う改善でした。総長の選定理由は、キャンパス全体を日々の活動範囲とする総合管理担当者の知見を評価しています。学生や教職員が自分の生活圏だけを見ているところを、巡回する仕事から全体として捉えたという説明です。

大学ブランディング研究所 編集部は、ここに、経験をただ蓄えることから判断に使うことへの一歩を読みます。どこに何があり、誰がどう使うかを知っている。その知見を、異なる人が使う場所の設計へ移した取り組みです。

憲章を、日々の仕事からも読む

法政大学は2016年に大学憲章を制定しました。建学以来の自由な学風や進取の気象を踏まえ、現代に必要な知性を「自由を生き抜く実践知」と表しています。大学憲章、理念・目的、ビジョン

憲章が触れるのは、他者への共感に基づく批判精神や、自立した市民として世界で生き抜く力です。自分の考えだけで完結せず、社会の中でどう考え、生きるかを問う説明になっています。

憲章がいう他者への共感を、この事例では、捨てる人だけでなく回収する人の動きまで考える仕事から読めます。既存の配置を当然とせず見直す点には、現状を問い、判断を行動へ移す姿勢もあります。これは編集部の読みですが、大学が受賞理由として挙げた、現場の知見に基づく再配置という説明に支えられています。

法政大学が小さな改善からも実践知を探すことには、知性を研究室や授業だけのものにしない意味があります。日々の仕事で得た知見を、ほかの人の使いやすさへ変える。その判断を大学の理念と関わる仕事として認める賞だからこそ、ごみ箱の配置も、どんな知性を大切にする大学なのかを語る題材になります。