コラム

「誰かやっておいて」— 大学ブランディングが進まない“温度差”の正体

執筆
大学ブランディング研究所 編集部
最終更新日
「誰かやっておいて」— 大学ブランディングが進まない“温度差”の正体

「ブランディング? 誰かやっておいて」。上條憲二氏の大学ブランディング講座・第2回は、協力を求める職員と、時間がないと答える教員のやり取りから始まります。学内の温度差を考えるために講座で示された場面です。

この場面を、教員の関心が低いという話だけで終わらせたくありません。頼む側が教育や研究も含む話をしているのに、頼まれる側は広告づくりだと思っているとしたら、同じ言葉で別の仕事を話していることになります。

協力してほしい仕事は、伝わっているか

「ブランディングに協力してください」では、何を頼まれたのか判断しにくいものです。授業の内容を確認してほしいのか、教育方針を議論してほしいのか、取材を受けてほしいのか。必要な時間も、引き受ける責任も違います。

相手が広告やロゴの話だと受け取っているなら、教育や研究との関係を説明する余地があります。一方、内容を理解したうえで人員や時間が足りないと答えているなら、説明を繰り返しても解消しません。依頼を小さくする、時期を変える、担当を相談するなど、仕事の条件を見直します。

温度差と呼ぶ前に、止まった理由を分ける

講座が扱う機運づくりを実務へ移すなら、意見の違いを一つの「非協力」にまとめないことが大切だと編集部は考えます。目的への疑問、進め方への懸念、業務負担、効果の判断方法。どれが争点なのかによって、次に用意する資料が変わります。

  • 目的への疑問には、今回どの課題を扱うのかを説明します。
  • 進め方への懸念には、決定する人と意見を集める範囲を示します。
  • 負担への懸念には、作業量と期限、支援できる人を相談します。
  • 効果への疑問には、何をいつ確かめるかを具体化します。

これは、相手を説得するための分類ではありません。懸念に理由があれば計画を直すための整理です。全学が同じ熱量になるのを待つより、いま話している仕事について、どこなら合意できるかを確かめられます。

次の依頼を、一つ具体的にする

まずは一人に、確認してほしい資料と、その人の判断が必要な箇所を伝えてみます。「大学の魅力を教えてください」より、「この授業紹介は、学生が実際に経験する内容と合っていますか」の方が、返すべき答えは明確です。

返ってきた訂正は、大学の説明を良くする材料になります。協力の有無だけを成果にせず、何が分かり、原稿や計画のどこが変わったかを共有する。そこから次の対話を始められます。

本稿は上條憲二の大学ブランディング講座・第2回「機運をつくる」をもとに、大学ブランディング研究所 編集部が依頼の伝え方を整理したものです。続く「最初の一人」では、小さく提案を始める方法を扱います。