津田塾大学は「オールラウンドな女性」を「変革を担う」へどうつないだか
- 執筆
- 大学ブランディング研究所 編集部
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「変革を担う、女性であること」。津田塾大学のモットーを読むと、「変革」の方へ目が向きます。けれど、公式の説明が言葉を尽くしているのは「担う」の方です。
津田塾大学の基本理念には、「オールラウンドな女性」を育てるという目標があります。幅広く学ぶことと、変革を当事者として担うことは、どうつながるのでしょうか。大学ブランディング研究所 編集部は、「担う」に含めた責任から、理念が求める学びの中身を読みます。

大きな変革も、足元の変革も
Tsuda Vision 2030は、時代を動かす大きな変革と、個々の役割に沿った足元の変革を並べています。「変革する」「変革を行う」とせず「担う」とした理由を、当事者意識と責任感に求めています。
この説明には「変革疲れ」という言葉も出てきます。変えることが華やかに語られる一方で、それを続ける負担にも触れているのです。モットーだけを見たときより、言葉の重さが伝わります。
大学が説明する卒業生像は、変化を起こした瞬間だけに焦点を当てていません。自分のいる場所で、よりよい社会を作るために関わり続ける人を描いています。大きな実績を持つ人に限らず、足元の役割を担う人も、この言葉の中に入れています。
「オールラウンド」に必要な深さ
基本理念では、地域社会と国際社会の双方に貢献できる「オールラウンドな女性」を育てると記しています。そのための学びには、高度な英語力を含む言葉の力、教養と専門の探求、社会の問題に向き合う課題解決力を挙げています。
何でも少しずつできる人という理解では、高度な専門と課題解決力を求める部分が抜け落ちます。専門を深く学び、言葉で異なる立場と関わり、社会の問題を考える。その学びを少人数教育を重視した教育課程で進めると、基本理念は説明しています。
調査の問いを、自分の仕事にする
多文化・国際協力学科のフィールドワークでは、3〜4年次に国内外の現場へ赴きます。計画、事前調査、関係者との折衝、実施までを学生自身が行う設計です。その前の1〜2年次には、社会調査法やラウンドテーブルなどで準備します。現場で得たことは、考察を加えてフィールドワーク報告卒業論文にまとめます。
この過程では、関心を持っただけでは調査を進められません。何を確かめるかを決め、調べる方法を考え、関わる人へ説明し、得られた情報から何が言えるかを論文にする。専門の知識と、言葉で人に関わる力が、学生自身の一つの研究で必要になります。
2025年度の卒業論文例には、群馬県太田市の製造業における多言語の職場や、ドイツのハレ市での難民支援活動などが並んでいます。対象はそれぞれ異なりますが、問題を遠くから論じるだけでなく、特定の場所や関係者に即して考える学びであることが分かります。
Vision 2030の教育のビジョンは、自ら考え行動する力と、多様な他者を理解し包摂する力を養うとしています。多文化・国際協力学科の調査では、その二つを使う場面がつながっています。問いや方法を自分で決める一方、調査先の関係者と折衝し、現場の文脈に沿って問題を考える。自分で研究を進めることに、相手を理解する仕事が含まれます。
津田塾大学の「オールラウンド」を、知識の分野が多いことだけで捉えると、この仕事が見えにくくなります。現場の一つの問いに答えようとするとき、専門、言葉の力、広い視野を別々には使えない。「担う」という言葉が大切にする当事者意識を、学生の学びに引き寄せるなら、こうした自分で問いを引き受ける場面から読めます。多文化・国際協力学科では、調査の計画から論文までを自分の仕事にすることで、専門と、言葉で他者に関わる力の両方を使う教育を組み立てています。
