コラム

大学広報とIRをどう連携するか|数字の意味を変えずに原稿へ渡す

執筆
大学ブランディング研究所 編集部
最終更新日
大学広報とIRをどう連携するか|数字の意味を変えずに原稿へ渡す

同じ「就職率」でも、分母が就職希望者なのか、卒業者全体なのかで意味は変わります。IRから届いた表には注記があっても、広報の見出しや図に移す途中で落ちてしまうことがあります。連携で守りたいのは、数字を渡す速さだけでなく、原稿になるまで意味が変わらないことです。

元の表が正しくても、見出しは確認する

たとえば「就職希望者のうち就職した人の割合」を、見出しで「卒業生の就職率」と縮めると、大学院進学者などの扱いが読み取れなくなります。数字を直さなくても、説明の範囲は変わっています。これは特定大学の誤記を指摘するものではなく、受け渡しで確かめたい例です。

IRには算式、対象年度、除外条件、調査時点を確認してもらいます。広報は、その数字が読者の何の判断に必要なのかを伝えます。進路を考える受験生向けなら、率だけでなく、進学者や職種についても情報が必要になるかもしれません。

確認を戻すのは、元表ではなく完成した原稿

本文、図の見出し、凡例、注記まで整った段階でIRに返します。「数値は合っているか」に加え、「この見せ方から、元の資料で言える以上のことが伝わらないか」を見てもらうためです。小さな注記を本文と離れた場所に置くと、見出しだけが読まれることもあります。

公開後の質問もIRへ戻します。同じ用語が繰り返し問われるなら説明を直せますし、特定の進路の内訳を求められるなら次の集計を相談できます。ただし、少人数の内訳は個人の推測につながり得るので、公開する単位も一緒に決めます。

文部科学省の教学マネジメント指針は教学IRと情報公表を扱っています。本稿は、その公式手順の転記ではなく、数字を公開原稿へ移す際の編集部の提案です。元表の確認で終えず、実際に読まれる形まで互いに見届ける。その往復を、広報とIRの仕事として予定に入れておきます。