滋賀大学は、キャリア支援をなぜ「日常の居場所」に置くのか
- 執筆
- 大学ブランディング研究所 編集部
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滋賀大学の彦根キャンパスに、58席の「知るカフェ」ができます。開店予定は2026年10月13日です。
ここは飲み物を受け取る場所であり、勉強や休憩に使う居場所であり、企業の若手社員や採用担当者と話せる場所でもあります。発表資料を追っていくと、58席には複数の使われ方が予定されています。
私たちは、キャリア支援の入口を学生の普段の時間へ置く計画として読みました。この記事の公開時点では、店はまだ開店前です。ここで確認できるのは設計までで、利用実績は開店後に待つ必要があります。

就職活動の予定がなくても、先に入れる
10月1日の滋賀大学と株式会社エンリッションの発表によると、カフェはデータサイエンス棟に設けられます。学部を問わず多くの学生が利用する第2校舎棟1階のフリースペースに隣接する場所です。
9月8日の新設発表では、企業が開く少人数交流会「Meetup」を、「従来の採用イベントとは異なる自然な出会いの機会」と説明しています。採用イベントは、企業を知りたい学生が開催時間に合わせて参加します。今回の計画では、休憩や勉強で立ち寄れる場所が先にあり、その日常へ企業との会話が加わります。
発表資料は、「知るカフェ」全体では登録学生の約6割を1・2年生が占めるとも記しています。これは滋賀大学店の実績ではありません。それでも、就職活動が本格化する前の学生も立ち寄る場所を目指していることは読み取れます。普段過ごす場所に企業の人が訪れる。この順番に、従来の採用イベントとの違いがあります。
学生は、お客さんであり運営側でもある
オープンセレモニーでは、学生店長の決意表明が予定されています。店舗運営も学生スタッフが担います。学生はドリンクを受け取り、企業の話を聞き、日々の店も動かします。
発表資料から確認できるのは、学生が利用者と運営者の両方に置かれていることです。どちらの立場も、同じ日常の場所にあります。
一方、学生スタッフがどこまで運営の判断を担うのか、どのような研修を受けるのかは、今回の発表資料からは分かりません。運営経験の教育効果や就職への影響を語るのは、開店後の情報が出てからです。
滋賀大学は大学の特色で、社会・地域・産業界とのネットワークを構築・活用した学習を掲げています。第4期中期目標も、社会・地域・産業界とのネットワークを積極的に構築し、新たな価値の創造を担う人材を育成する方針を示しています。
これらの方針が「知るカフェ」の直接の発案理由だった、とまでは書かれていません。ただ、大学自身は今回の連携を、地域・企業との接点づくりを学生生活に身近な場で補完・発展させるものと位置づけています。授業の合間に過ごす時間へ、大学が掲げる社会とのつながりを近づけようとする計画です。
大学ブランディングは、言葉に加えて、学生が誰とどの時間を過ごせるかという場所の設計にも現れます。
開店後に見たいのは、「普段使い」が残っているか
開店後は、Meetupの実施回数に加えて、普段の使われ方を確かめたいところです。企業の来訪がない日にも学生が過ごしているか。勉強や休憩のしやすさと、社会人と話せることが両立しているか。学生店長やスタッフは、日々の運営にどのように関わっているか。その三点を、開店後の続報から確かめます。
同じような仕組みを検討する大学なら、自校の学生が普段どこで立ち止まり、その時間に誰と出会えるとよいのかを先に描く必要があります。滋賀大学店の答えは、開店後にしか分かりません。10月13日以降、58席に予定された複数の時間が、実際にどう共存するかを追いたいと思います。
