神戸女子大学は、一学科になっても二つの専門をどう残すか
- 執筆
- 大学ブランディング研究所 編集部
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神戸女子大学が構想する健康福祉学科(仮称)の説明には、「食べる、動く、暮らす」という三つの動詞が並びます。社会福祉学科と健康スポーツ栄養学科を一学科二専攻へ再編する話を、専門分野の名称ではなく、同じ人の一日から説明する言葉です。
食事を整えること、身体を動かすこと、困りごとを抱えながら地域で暮らすことは、一日の中でつながっています。このつながりをほどいていくと、一学科にする意味と、二つの専攻を残す意味は同じ場所から説明できます。

「暮らす」の中に、食べることと動くことがある
大学の発表によれば、新学科は福祉・栄養・運動の基礎を広く学び、専攻を横断した学びを通じて、地域福祉・健康課題に多職種連携の視点から取り組む構想です。「食べる、動く、暮らす」は三分野の見出しではありません。食べることも動くことも、暮らしの中で起きる行為です。
現行の社会福祉学科は、本人への相談支援を出発点に、地域や社会へ働きかけるソーシャルワークを中心に据えています。困りごとだけでなく、家族や地域との関係、利用できる制度や社会資源まで視野に入ります。
同じ暮らしを、現行の健康スポーツ栄養学科は別の場所から見ます。栄養学、食品学、医学、運動生理学、コーチングを通じて、食事、身体の状態、運動の方法、生活段階に応じた健康づくりを扱います。
相談の場で、食事や身体活動の変化に気づくことがある。食事や運動を支える場で、本人を取り巻く家族や制度の問題に出会うことがある。大学の構想が示す多職種連携は、このように一つの生活を途中で切らないための学びとして理解できます。
ここで大学広報・教学・入試広報が判断したいのは、二専攻の共通科目をどれだけ増やしたかではありません。同じ生活場面を前に、各専攻が何を観察し、何を持ち寄るのかを受験生が読めるかどうかです。設置構想中の情報を確定状態と更新責任に分ける考え方は、久留米大学の2027年文系改編でも検討しました。
二専攻を残す意味は、問いの違いにある
一学科になることを「何でも学べる」と表現すると、二つの専門はぼやけます。しかし、一人の暮らしを共通の対象に据えたうえで、ソーシャルワークはどの関係や制度を問うのか、スポーツ栄養はどの身体や食事の変化を問うのかを示せば、専攻の違いは残ります。共通目的を持つことと、同じ専門になることは別です。
神戸女子大学の建学の精神は、世界の平和と人類の福祉に貢献する人材の育成を掲げ、心身ともに健康な人の育成にも触れています。大学は、この建学の精神を今回の再編理由として直接説明していません。そのため因果は結べませんが、「人類の福祉」を社会福祉という一領域だけに閉じず、暮らしと心身の健康を支える異なる専門行為へ開く読み方はできます。これは公開された二つの記述を照らした編集部の解釈です。
健康福祉学科は現時点で設置構想中で、学科・専攻名はいずれも仮称です。開設後の成果も、現在のページからは評価しません。それでも、三つの動詞が示す説明の骨格は明快です。一学科が共有するのは「一人の生活」であり、二専攻が持ち寄るのは、その生活を見る異なる問いです。
