大学別分析

金沢工業大学の綱領は、なぜ寮生活や健康管理まで語るのか

執筆
大学ブランディング研究所 編集部
最終更新日
金沢工業大学の綱領は、なぜ寮生活や健康管理まで語るのか

金沢工業大学の1965年の建学綱領には、教室や実験室だけでなく、寮生活、衛生管理、生活相談、就職斡旋まで出てきます。大学の理念を説明する文章が、学生生活の細部へ踏み込んでいるのです。建学綱領

この列挙の前には、人間形成を学園の使命の中心に置くという説明があります。学術探究や職業教育も重要ですが、人間形成を除いては成り立たない。だから、学生生活は教室の中だけで考えられない、と話を進めています。

寮や生活相談が、理念の文章に入る理由

綱領は、人間形成の場として学園を捉えるなら、文化活動や体育、寮生活の指導、厚生施設など、あらゆる部門が意味を持つと説明しています。建学綱領

大学ブランディング研究所 編集部は、このつながりを、福利厚生の一覧とは違う説明として読みます。勉強に集中できるよう生活を支えるだけでなく、生活を含む学園全体を教育の場として捉えているからです。

続く「学園共同体の倫理」では、教育を担う人を教授だけに限らず、理事や職員にも広げています。寮生活や相談窓口まで教育の場に含めたのに、その仕事を教室の担当者だけへ任せることはできません。綱領は、理事・教職員・学生による学園共同体を築くことを、人間形成の場をつくる方法として説明しています。

信条にも「人を応援する」がある

現在公開されているKIT-IDEALSは、学園共同体の共有する価値を九つの信条にまとめています。対象は学生、理事、教職員です。

たとえば「勤勉」の説明は、自分が努力することだけで終わらず、向上に努力する人を応援することまで書いています。「自律」も、自分の行いを律することと、一人ひとりを信頼し尊敬することを合わせています。

人に求める性質を挙げた後に、その人とどう関わるかが続きます。綱領にあった生活相談や寮生活の話と同じく、育つ人だけを見るのではなく、周囲の環境や関係も一緒に考える文章です。

ビジョンと実践目標は、教育、研究、サービスを分けて示しています。サービスも学園の仕事として位置づけ、学生をはじめとする関係者の満足度の向上を目指すと説明しています。

1965年の綱領を読むと、学生生活の支援を理念と別枠に置かずに考えられます。教室で何を学ぶかと、日々をどんな環境で過ごすか。金沢工業大学の人間形成という言葉は、その両方を含む大学のあり方を語っています。